2017年05月14日

美麗セレ仏にうっとり!「奈良 西大寺展」

「奈良 西大寺展」今、東京会場で開催中です。

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写真はプレス内覧会にて許可を得て撮影

仏像ファンには有名な、美麗な愛染明王、コワモテな明王なのに、おしゃれともいえるスタイル。ゴージャスな装飾と均整の取れたプロポーション。
鎌倉時代後期のトレンドですね。

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隣は有名な叡尊さんの肖像。本当にリアルです

ほかにも文殊菩薩さんがまた美麗なこと。
育ちの良いセレブ感たっぷりです。

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こういうのを「セレ仏」と呼んだりします(笑)
文殊菩薩坐像 鎌倉時代・正安4年(1302)



取材したのは東京会場。ここでの目玉はやはり、浄瑠璃寺の吉祥天さんでしょう。
本物は実物で見るとして、ここでは参考としてイスムさんの写真をご覧あれ。

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重文 吉祥天立像(6/6〜6/11展示) 鎌倉時代 京都・浄瑠璃寺 画像提供:奈良国立博物館(撮影 佐々木 香輔)

東大寺に比べて、意外と知らない(かもしれない)西大寺関連の仏教美術をまとめて観られるよい機会です!


創建1250年記念「奈良 西大寺展」
(東京展)
2017年4月15日(土)〜6月11日(日)
月曜日(5月1日は開館。)
三井記念美術館にて
公式サイト:
http://saidaiji.exhn.jp
美術館サイト:
http://www.mitsui-museum.jp/


posted by 宮澤やすみ at 15:38 | Comment(0) | 日本(仏像、考古) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月24日

楽茶碗はアバンギャルドの極致?『茶碗の中の宇宙』展

茶道で用いられる楽茶碗が勢ぞろいした『茶碗の中の宇宙−楽家一子相伝の芸術』。
現在の15代楽吉左エ門さんご本人も登場しての内覧会は、静かな興奮に包まれてました。

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囲み取材を受ける樂吉左エ門さん

初代・長次郎から代々続く樂家ですが、先代の技術を模倣することはなく、土も釉薬も自分で研究し、独自の茶碗づくりをするのが特徴です。
今回の展示は、15代すべての作品が並んでいて、代ごとにスタイルが変わっていく様子がよくわかります。

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三代目・道入作、銘《青山》。初代の作風よりも艶やかでオシャレ

自分は以前、初代・長次郎の茶碗を手に取らせてもらったことがあります。見た目よりも非常に軽く、薄くてもろいようで、でもかっしり引き締まってる。見込み(内側のお茶の入る部分)を見るとブラックホールのように深い。枯れた色調もあって、年季を積んでも矍鑠と元気なおじいちゃん、という印象でした。

今でこそ、楽茶碗というと渋好みの侘びた風情という印象ですが、しかし、もともとのコンセプトはどうやら違ったようです。

初代・長次郎のいた桃山時代は、なんでもかんでも金ピカにするのが流行り。そこに、黒と赤だけのゆがんだ茶碗を使うというのは、相当異質な美だったでしょう。
千利休が楽長次郎に指示した茶碗のコンセプトは、かなりのアバンギャルド。
利休も、それに応えた楽も、日本美術界のとんだパンク野郎(笑)だったのですね。
美術界に殴り込んだ”反逆のアート”が楽茶碗なのです。なんだかカッコいい。パンクロックを爆音で流しながらお茶を飲みたくなります。

当初は、「樂焼」という言葉もなく、「今焼」と呼ばれていたそう。
要するに、あまりに斬新すぎて名称がつけられず、桃山時代当時のコンテンポラリー・アートと位置づけられたのでした。その後、江戸から明治に時代が移っても、時代の空気を反映した”今様の美”を追求してきたことは変わりありません。
そう考えると、この記事のカテゴリを「現代美術」にしてもいいかもしれませんね(笑)

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当代・吉左エ門さんの作品もたくさん。”これ、どこから飲むの?”というような面白い作品がたくさんありますよ


『茶碗の中の宇宙−楽家一子相伝の芸術』
3/14〜5/21
東京国立近代美術館にて
休館日、開館時間などの詳細は
http://raku2016-17.jp/outline.html
展覧会サイト
http://raku2016-17.jp/
posted by 宮澤やすみ at 14:16 | Comment(0) | 日本(中世-近代) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月22日

神仏のなぞが解ける?「春日大社展」

東博の「春日大社展」行ってきました。
(今回は内覧会の日が都合つかず、写真を撮れませんでしたが、画像はネットにいろいろ出てます)
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東京国立博物館・平成館で開催中!

展示内容は多岐にわたりますが、やはり神仏習合の展示が面白いです。
(筆者は仏像、とくに神仏習合が専門なもので、どうしてもそこに目が行きます)

奈良、平安時代から、神と仏は一体とされました(神仏習合)。
本来、神の姿は目に見えないとされましたが、やっぱり「この目で見たい!」と思うのが人情。
だから、神の姿も仏像みたいに彫像や画像で表すようになります。これが「本地垂迹(ほんぢすいじゃく)」。
「垂迹」というのは、変身した姿という意味。よく「●●権現」とかいうやつが垂迹身に相当します。
「本地」とは本体という意味で、ここでは仏像の姿で表現されます(このへんのややこしい話はWikipediaとかに出てるから)。

春日大社にも、ご祭神に対応した本地仏が設定されていて、梵字や像で表されました。

だから、神社がテーマの展示でも仏像がいるんですね。

というわけで、今回の展示で、私自身がグッときた仏像ベスト3は…、

1.
十一面観音立像
円成寺の旧本尊。平安中期のウネウネした衣文がたまらない!
(円成寺サイト)
http://www.enjyouji.jp/treasure/index.html

2.
善円作:十一面観音菩薩立像
愛らしくもキリリとした顔立ちに、艶めかしいプロポーション!
(奈良国立博物館サイト)
http://www.narahaku.go.jp/collection/803-0.html

3.
康円作:文殊菩薩騎獅像および侍者立像
童子形ながら神々しく厳しいお顔。獅子に乗っておでかけスタイル!
(東京国立博物館サイト)
http://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=C1854&t=type_s&id=8


です!(ほかにも地蔵菩薩などいました)

これらの仏像は、どれも神社の信仰(春日信仰)からできているわけです。
教科書どおりの神道、仏教ではわからない世界観ですね。
やはり、古い日本のようすを知るには、神社も寺も同時に見ていかないと。


春日大社は、奈良の平城京を見守る御蓋山(みかさやま)、春日山の信仰が原点ですが、そこに茨城・鹿島神宮の神が降り立ったとされ、社殿が建てられ、千葉・香取神宮の神など合わせて四柱(神を数える数詞は「柱」といいます)の神を祭ります。


それぞれの神と本地の対応は、




神名本地仏
第一神武甕槌(タケミカヅチ)命不空羂索(ふくうけんさく)観音
もしくは釈迦如来
第二神経津主(フツヌシ)命薬師如来
第三神天児屋根(アメノコヤネ)命地蔵菩薩
第四神比売(ヒメ)神十一面観音

そして、比売神の息子とされる若宮の神の本地を文殊菩薩として表現されます。

こうしたややこしい(?)話は、ぜひ博物館で確認してみてください。
説明パネルでわかりやすく解説されています。
それを見たうえで春日曼荼羅や仏像を見ると、感じ方もちがうと思います。


【特別展 春日大社 千年の至宝】
2017年3月12日まで
http://kasuga2017.jp/

posted by 宮澤やすみ at 18:21 | Comment(0) | 日本(仏像、考古) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする