2015年05月25日

鳥獣戯画展 −明恵さんの愛情が伝わる仏眼仏母−

東博の「鳥獣戯画 高山寺の至宝」展は、連日大盛況のようです。先日の内覧会でのレポートです。(写真は許可を得て撮影。会期中は撮影禁止です)


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間近で観るには行列覚悟で

鳥獣戯画は全4巻。そのうち半分くらいは人間を描いた戯画で、ペーソスあふれる人間模様が楽しいです。
一番人気の、おサルさんとウサギさんのマンガは、いちばん最後に登場。手塚治虫も絶賛した、生き生きした筆致!やはり本物の肉筆でみるといいですね。躍動してます。自分も仲間に入って遊びたくなります。
ただし、会場はものすごい混雑だそうなので、時間に余裕をもって、歩きやすい靴でどうぞ。

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広い行列用スペースも。スペースマウンテンに乗る前みたいです

そして! 私が強力におすすめしたいのは、展覧会の副題にもあるとおり「高山寺の至宝」なのです!

高山寺は、明恵上人(みょうえしょうにん)が居たお寺。武家の生まれで16歳で東大寺で僧になり、勉学するも飽き足らず、深い仏法の道を探求します。釈迦の捨身伝説を実践して狼に食われようとしたり、ゴッホみたいに耳を切り落としたり、なにしろ目指すものだけを深く追求する人だったようです。

その明恵上人が大切に礼拝していたのが「仏眼仏母像」の掛け軸。これが展示されているのです! 私は、白洲正子の『明恵上人』に書かれる仏眼仏母像の文章を読んで、いつか実物を見たいと思っていたのでした。
私にとって、この展覧会のメインはまさにこの掛け軸でした。

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右端の掛け軸が「仏眼仏母像」

幼くして母と別れた明恵上人は、この仏画に賛を書きつけます。白洲正子によると、「感情のたかぶりが、今目前で書かれているように伝わって来ます」(『明恵上人』白洲正子著 講談社文芸文庫)。

この像に感動して、仏と母が明恵さんの中で重なって、愛情を渇望する子供みたいにワナワナしたのだそうです。
右側には、「ミ仏」を想う和歌が書かれ、左には、「南無母御前 南無母御前」と書かれ、その筆跡は次第に力がこもってきて、大きく力強い文字になっていきます。明恵さんの感情そのまんまです。

この仏画は、かなり大きな画面に、白い身体の仏眼仏母が精緻に描かれていて、迫力と気品のバランスがすばらしく、絵として完璧に仕上がっています。
これに、わざわざ墨でなにか書いてしまうというのは、今だったら絶対NGの行為なのでしょうけど、当時は明恵さん個人の持仏ですから、もう感情が昂ぶるままに、気が付いたらざざざっと書いてしまった。きっと「うわぁ〜!」とか奇声もあげていたかもしれないですよ。その気持ちわかるような気がします。

そんな明恵上人の肖像を描いた「明恵上人樹上坐禅像」(国宝)もあります。木々に埋もれるようにたたずむ明恵さんを見ると、この方の人となりが伝わってきます。

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この絵、木の上からリスが覗いています。探してみて

どちらも展示順路の前半にあるので、お見逃し無いようにどうぞ。


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仏像ファンのかたはこちらを。神像ではありますがその造形は完全に仏像



特別展「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─」
2015年4月28日(火) 〜 2015年6月7日(日)
東京国立博物館 平成館にて
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1707
特設サイト
http://www.chojugiga2015.jp/


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posted by 宮澤やすみ at 13:24 | Comment(0) | 日本(中世-近代) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする