2015年11月06日

旅する気分で「風景画の誕生」展

Bunkamuraミュージアム「風景画の誕生」展がおもしろいです。
(写真は報道内覧会で許可を得て撮影)

ぼくはもともとヒエロニムス・ボスの絵が好きだったので、この展覧会で出展される《楽園図》が楽しみでした。
そして、実物を見たときの感激はやはりいいものでした!
公式サイトのこのページ中間部あたりに絵が出ていますが、やっぱり実物で見たほうがいいと思います。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_wien/point.html

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左に写ってるのがそう。だけど実物を見ないとはじまらない

さて、「風景画」が主役の本展ですが、じつはヨーロッパの美術はまず”人体”が基本なんですよね。ミロのヴィーナスとか、古代ローマの彫刻なんかに代表される、解剖学的な人体の美ですね。
だから、美術作品で風景や自然を題材にするという考え方があまりなかったそうです。

しかし、古い絵画にも風景の美しさが見られます。それは人物の背景に描かれた精緻な風景。

平面画で、風景は描きにくいものだったようで、ずっと遠くまで茫洋とつづく奥行きをどう表現するかが問題。
数学的な遠近法が確立される以前、もしくは遠近法が使われないオランダあたりの絵画では、
「色彩遠近法」というやり方で奥行きを表現してました。
赤系の暖色は前に出て見え、青系の寒色は引っ込んで見える。この特性を利用して、遠くのものを青系の絵具で描いたんですね。
展覧会では、「世界で最初に風景画家と言われた男」パティニールの風景画が展示されています。

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色あいで遠近感を表現
ヨアヒム・パティニール《聖カタリナの車輪の奇跡》1515年以前 油彩・板


ほかに面白いのは、月暦画。
一年12か月のくらしを描いた大きな連作で、ヨーロッパの田舎のくらしぶりが見えて面白いです。
イタリア北部の農村で、ブドウを収穫したり、秋には子羊を締めたり(かわいい子羊だけど、仕方ない!)、絹糸をつむいだり。
画面が大きいので、素朴なくらしの中に入り込んだような気分になりますよ。

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月ごとの暮らしぶりが大画面に

こちらの展覧会サイトに画像が出ていますが、
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_wien/
「風景を旅する」というキャッチコピーのとおり、風景と共に、ヨーロッパのくらしを体験するような気持ちになるんですよね。

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風景の中に描かれた人々の生活がおもしろい
(部分)ルーカス・ファン・ファルケンボルフ《夏の風景(7月または8月)》1585年 油彩・キャンヴァスより



展示後半は、風景画というジャンルが確立してからの作品。もうね、画面のほとんどが雲!とかね(笑)
それでも、忠実にヨーロッパの街を描いていて、ヴェネツィアの港の描写なんかほんとリアルでした。カメラ・オブスキュラという機器で正確に建物の位置関係を測ったそうで、写真が普及する直前の、風景画の白眉です。

観終わったあとは、無性にヨーロッパの旅に行きたくなる!
行けなくても、「今日の晩ごはんは、フレンチかイタリアンにしようかな」と思うような(笑)、そんな展覧会です。


そして、この「風景画の誕生」展の公式サイトがおもしろいです!
絵画の画像にマウスをもってくと拡大したり、見やすくわかりやすく構成されているので、一度ご覧あれ。


ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生
2015/9/9(水)−12/7(月)
10/5(月)のみ休館
Bunkamura ミュージアムにて
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_wien/
美術館サイト
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_wien.html
posted by 宮澤やすみ at 17:32 | Comment(0) | ヨーロッパ(近代) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする