そして、茹でたてのジャガイモとチーズに、ベルギービールが欲しくなる展覧会です(笑)。
昨年の「バベルの塔展」で好評を博したブリューゲル。今回はその続編といったところでしょうか。
「バベル塔」の画家、ピーテル・ブリューゲル1世を初代として、その後の子孫たちの画業が概観できます。
中世からバロックを生きた画家一族150年
父の作品を複製することもあり、ブリューゲル一族のテーマは代々受け継がれていきます。
それは、農民の普段のくらしを題材にしていること。
いかにも乾燥してそうなフランドル地方の風景に、庶民の素朴なくらしぶりが描かれています。

画面のあちこちにストーリーや風刺が込められているので、よ〜く見てください
息子ピーテル2世作《鳥罠》をご覧あれ。
スケートに興じる子供たちのすぐそばに大きな穴! 人生楽しい時でもいつ何が起きるかわからないという意味があるそうです。
いっぽう、代が変わるごとに絵のタッチは変わっていきます。
ピーテルは、当時すでに巨匠だったヒエロニムス・ボスの影響が強く「二代目ボス」的な存在だったそうですが、その子や孫になるとタッチが変わってきます。

息子のヤン・ブリューゲル1世、孫のヤン2世は、花の静物画が代表作
筆者自身が一番気に入った作品がこれ。

ヤン・ブリューゲル2世《聴覚の寓意》
さまざまな楽器が並べられ、リュートを奏でる女性の横にはかわいらしい鹿が。鹿は聴覚が良いことからここに描かれました。
イヤホンガイドで、中世のリュート音楽を聴きながらこれを見たら、もう本当に引き込まれて、ここちよ〜い気分になってきますよ。

シカさんがこっちを見て、ちょ〜かわいい
初代ピーテル1世は、ひょうきんな性格だったそうで、思わず笑顔になるような絵が得意。
まだ当時の世の中は重税や戦争、疫病など、中世の重苦しさをひきずっていた頃、だからこそ、せめて絵の中では楽しいきもちでいたい、そんな心意気が伝わってきます。
そんな楽しさが見るものの心をほぐして、展示室を出るころには、やさし〜い気持ちになっていると思いますよ。

展示のメインである《野外での婚礼の踊り》こちらまで楽しい気分になってきます
また、東京展の2月18日までは、なんと2階展示室が撮影OK!
イヤホンガイドのやわらかい語りと音楽が、絵のたのしさを引き立ててくれます。
B5サイズでコンパクトな図録もいいですね。

婚礼の宴で、こっちも一杯飲みたくなるところへ、ミュージアムショップはベルギービールがずらり
ぜひお見逃しなく。
ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜
(東京展)
2018年1月23日(火)〜4月1日(日)
月曜日、2月13日(火)
※ただし2月12日(月)は開室
東京都美術館
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愛知展は4月24日から豊田市美術館
北海道展は7月28日から札幌芸術の森美術館
広島、福島にも巡回予定
公式サイト:
http://www.ntv.co.jp/brueghel/