2015年04月27日

ポーラ美術館「きいて みる」絵の中に入り込む不思議感覚

引き続き、ポーラ美術館の取材レポートです。

常設展の一角でやってる企画がすごくおもしろいです。

美術をもっと楽しむプロジェクト「じっくり/JIKKURI 04 きいて みる」

といい、音といっしょに絵画を鑑賞するものです。

kiitemiru1.jpg

作品は、クロード・モネ《バラ色のボート》。

折り重なる木々の間を、小さなボートが水面に浮かぶようすを描いた絵。この場に流れていたと思われる、せせらぎや鳥の声などをの音を、スピーカーから流します。
超指向性スピーカーなので、作品に近づくと、突然音が聞こえてくる仕掛けになっていて、なんだか絵の世界に入り込んだような、アリス・イン・ワンダーランド的な感覚を覚えます。

しばらく身を置いていると、ゆっくりオールを漕ぐ”チャプン”ていう音や、風の音も聞こえます。
そうすると、不思議なことに絵の見え方も変わるんですね。これは面白い。
モネの作品によくある、ぼーっとふわーっとした画面なんですけど、音が耳に入ったとたん、すごくリアルな絵に見えてくるんです。
池の水面なんか、バカボンのほっぺたみたいな渦巻が雑なタッチで描かれてますけど(ひどい言い方w)、それがゆらゆらしている水面の動きに感じられ、光のきらめきも見えてくる(気になる)。
すごく透明度の高い水の上をボートが進む様子が、ありありと見て取れます。

kiitemiru2.jpg

印象派の画家がめざしたのは、外光で事物を捉えて描く絵画だそうですが、音が付くとよくわかります。アウトドアの心地よい空気に包まれて、一緒に水をちゃぷちゃぷして「おおぅ冷たい!」なんてやりたくなります。
聴覚が刺激されると、視覚にも影響が出るんでしょうか。脳科学的な観点から興味深い現象が、自分のなかで起きているんです。これは新鮮な体験でした。
ぼくがグッと印象派に引き込まれた瞬間であります。

じつは、ぼくは印象派がちょっと苦手だったのです。その理由のひとつに、あまりに騒ぎ立てられて、情報過多といいますか、説明がやたら多くてかえって混乱するような気がするんですね。
以前、べつの展覧会で、あまりに説明書きが多くて、鑑賞後にはテキストを読んだ記憶しか残らない、という事態もありました。
言葉で説明を読んでもピンとこなくて、さっぱり印象に残らなかった「印象派」。それが、音でストンと腑に落ちたのでした。

ちなみに、ぼくが音楽をやっている人間だからということもありますが、アート=絵画、彫刻だけじゃないはずです。聴覚に訴えるアートもアートとして認めてほしい。
まあきっと、聴覚アートは作品として売りづらいとか図録に載せられないとか、業界の都合もあったりするのでしょうね・・・


美術をじっくり楽しむプロジェクト 「じっくり/JIKKURI 04 きいて みる」
2015年4月1日(水)-9月27日(日)
ポーラ美術館 展示室3
http://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20150401c01/

 
 
posted by 宮澤やすみ at 17:30 | Comment(0) | ヨーロッパ(近代) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: