(写真は報道内覧会で特別に許可を得て撮影)
クラシカルな内装の展示室でみる蔵王権現さん。奈良や鳥取からお越しになって、少々緊張しているよう(勝手な妄想ですが)
蔵王権現は、山岳信仰と仏教(密教)が混ざり合って成立した日本独自の宗教「修験道」の本尊です。
発祥は奈良県、吉野の金峯山(きんぷせん)。
その山中で修行した役行者(えんのぎょうじゃ)が、激しい修行のなかで感得した姿です。
だからもう、忿怒の形相に手足を挙げて、炎もメラメラで、かなり激しい姿なんですよ。見ている私の脳内には、ゴリゴリのへヴィメタルが鳴りだします。
ショップで販売中の蔵王権現も強そう。インテリア仏像ショップ「イスム」さんの商品です
そういうイメージの蔵王権現なんですけど、展示を奥に進みますと、蔵王権現像の連続で、感覚がマヒしてくるんでしょうか。
「なんかカワイイ!」
って思ってしまうんですね(笑)。ホントすみませんこんな表現で。
左右違うポーズの方がいると、なんか踊ってるみたいで楽しくなります(感覚マヒしてます)
展示室の後半は、鳥取県三佛寺のお堂(国宝・投入堂)にあったという貴重な像がずらりと並ぶので、ここが蔵王権現ファンの超目玉となるわけなんですが、そのどれもが、「おもちゃ買ってぇ〜!」って泣きながらジタバタする駄々っ子に見え・・・いやホントすみませんこんな表現で。
大変貴重かつ修験道の根幹をなす重要な像であるのはわかっているのですが・・・カワイイよね
仏像は脳内でイメージが膨らむので、なにか吹き出しをつけて台詞をつけたくなるのです。とくにこの像はイメージ膨らんでしまいますね。
リアルでカッコよさを求める方には、吉野の如意輪寺からいらした慶派仏師による蔵王権現像が拝観できます。本展の主役で、ネットやチラシの顔になっています。
※如意輪寺像の展示は9/23まで
この蔵王権現ですが、伝説によると、修行中の役行者さんの前に最初に表れたのは、千手観音、釈迦、弥勒の三仏だったそうです。しかし、役さん、これでは満足できなかったようで、「もっと強い姿を!」といった想いを投げかけ、その結果現れたのが蔵王権現だった。観音、釈迦、弥勒が姿を変えて現れたんですね。「権現」というのは、こんなふうに、”もともとの神仏が人間の目に見える形に変化(へんげ)して現れた姿”という意味合いがあります。
言ってみれば、人間のニーズに応える形でヴィジュアルを変えてくれるんですね。ありがたいことです。
蔵王権現を本尊とする修験道は、自然(=山)を崇拝する日本古来の宗教観を基本に、平安時代当時最新の呪術的信仰(=密教)の手法で表現したものであり、日本独自のハイブリッド宗教です。
これを理解すると、日本人の宗教観や、日本人ってなに?という、素朴かつ壮大な疑問に対する大きなヒントが得られます。
日本という国のナゾを解き明かしたい人にはおすすめの展覧会です。
【特別展 蔵王権現と修験の秘宝】
2015/8/29〜11/3
三井記念美術館にて
美術館サイト:
http://www.mitsui-museum.jp/index.html


