2018年01月24日

撮影OKエリアも!優しい気持ちになる「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」

とても幸せな気分に浸れる展覧会。
そして、茹でたてのジャガイモとチーズに、ベルギービールが欲しくなる展覧会です(笑)。

昨年の「バベルの塔展」で好評を博したブリューゲル。今回はその続編といったところでしょうか。

「バベル塔」の画家、ピーテル・ブリューゲル1世を初代として、その後の子孫たちの画業が概観できます。

DSC_0185.JPG
中世からバロックを生きた画家一族150年

父の作品を複製することもあり、ブリューゲル一族のテーマは代々受け継がれていきます。
それは、農民の普段のくらしを題材にしていること。

いかにも乾燥してそうなフランドル地方の風景に、庶民の素朴なくらしぶりが描かれています。

brueghel3.jpg
画面のあちこちにストーリーや風刺が込められているので、よ〜く見てください

息子ピーテル2世作《鳥罠》をご覧あれ。
スケートに興じる子供たちのすぐそばに大きな穴! 人生楽しい時でもいつ何が起きるかわからないという意味があるそうです。

いっぽう、代が変わるごとに絵のタッチは変わっていきます。
ピーテルは、当時すでに巨匠だったヒエロニムス・ボスの影響が強く「二代目ボス」的な存在だったそうですが、その子や孫になるとタッチが変わってきます。

brueghel2.jpg
息子のヤン・ブリューゲル1世、孫のヤン2世は、花の静物画が代表作

筆者自身が一番気に入った作品がこれ。

brueghel4.jpg
ヤン・ブリューゲル2世《聴覚の寓意》

さまざまな楽器が並べられ、リュートを奏でる女性の横にはかわいらしい鹿が。鹿は聴覚が良いことからここに描かれました。
イヤホンガイドで、中世のリュート音楽を聴きながらこれを見たら、もう本当に引き込まれて、ここちよ〜い気分になってきますよ。

brueghel7.jpg
シカさんがこっちを見て、ちょ〜かわいい


初代ピーテル1世は、ひょうきんな性格だったそうで、思わず笑顔になるような絵が得意。
まだ当時の世の中は重税や戦争、疫病など、中世の重苦しさをひきずっていた頃、だからこそ、せめて絵の中では楽しいきもちでいたい、そんな心意気が伝わってきます。
そんな楽しさが見るものの心をほぐして、展示室を出るころには、やさし〜い気持ちになっていると思いますよ。

brueghel5.jpg
展示のメインである《野外での婚礼の踊り》こちらまで楽しい気分になってきます

また、東京展の2月18日までは、なんと2階展示室が撮影OK!
イヤホンガイドのやわらかい語りと音楽が、絵のたのしさを引き立ててくれます。
B5サイズでコンパクトな図録もいいですね。

brueghel6.jpg
婚礼の宴で、こっちも一杯飲みたくなるところへ、ミュージアムショップはベルギービールがずらり

ぜひお見逃しなく。



ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜
(東京展)
2018年1月23日(火)〜4月1日(日)
月曜日、2月13日(火)
※ただし2月12日(月)は開室
東京都美術館


愛知展は4月24日から豊田市美術館
北海道展は7月28日から札幌芸術の森美術館
広島、福島にも巡回予定
公式サイト:
http://www.ntv.co.jp/brueghel/

posted by 宮澤やすみ at 16:06 | Comment(0) | ヨーロッパ(中世、ルネサンス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月06日

面白怖い世界へ!ブリューゲル「バベルの塔」展

中学生のころ、美術の教科書で「なにこの壮大な世界観」とインパクトを受けたのが「バベルの塔」。

謎めく旧約聖書の伝説がリアルに描かれ、絵の世界に引き込まれる。
脳内に流れるBGMは「バビル2世」(笑)

・・・そんな記憶をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

いつか実物を見てみたい、という思いが、21世紀の今実現しました。
babel0-800.jpg
報道内覧会で許可を得て撮影。取材陣も興奮

展示室では、まず実物を見る前のアプローチに、細かい見どころの解説があり、心の準備を固めるようになっています。
実物がわりと小さいので、混雑緩和のためにいろいろ工夫しているようです。展示室奥には、東京芸術大学制作の高精細レプリカ(クローンアート)があり、これがかなり大きいサイズなので微細な箇所を確認したい場合はこちらを見るのをおすすめします。

babel4.jpg
展示室へのアプローチ演出がニクい

また、暗い中で微細な描写を凝視するので、筆者含め中高年の弱った視力にはなかなか厳しい状況。メガネの手入れや単眼鏡などあると良いかと思います。ただし長時間絵の前に立つのは迷惑になってしまうので、ほどほどにお願いします。

展示の全体は、ブリューゲルを楽しむ前に、まず御大・ヒエロニムス・ボスの作品が登場。
ボスといえば、奇怪なモンスターが画面狭しと跋扈する、カオスな絵が面白いですよね。筆者も、中学生時代にCeltic Frostというヘヴィメタルバンドのアルバムジャケットに使われているのを見ていっぺんに好きになりました。

今回は、貴重なボスの真筆のうち2点が展示。ここでも細かいモチーフの解説が充実していて、面白い個所を見落としません。殺され吊るし上げられたクマ、背後にあばれる怪獣が大変不気味でワクワクします。
なにしろ、ボスのような面白怖い作品は、妖怪好きな日本人の感性に合うんじゃないでしょうか。

babel3.jpg
解説より”猟師に射殺され、気に吊される熊は、「迫り来る危機」が去ったことを表している”

ボスの絵は当時も大変人気で、彼の死後もボス工房で「ボス風絵画」がさかんに描かれました。そんな「ボス・リバイバル」も本展のみどころのひとつです。

そのへんの見どころは、公式サイトに大きく出ています
 ↓
 http://babel2017.jp/point-anime.html

そして最後は、メインの「バベルの塔」をじっくりとご堪能ください!

babel2.jpg
ショップの注目は、バベルの塔(Tower of Babel)ならぬ、今治「タオルの塔(Towel of Babel)」


ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展
16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―

(東京展)
2017年4月18日(火)〜7月2日(日)
月曜休館
東京都美術館 企画展示室にて
http://www.tobikan.jp/exhibition/2017_babel.html
(大阪展は7月18日から国立国際美術館)
公式サイト:
http://babel2017.jp

posted by 宮澤やすみ at 19:27 | Comment(0) | ヨーロッパ(中世、ルネサンス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月12日

「ボッティチェリとルネサンス展」アーティストとパトロンの運命

渋谷Bunkamuraミュージアムの「ボッティチェリとルネサンス展」を取材してきました。
(写真は報道内覧会で許可を得て撮影。会期中は撮影禁止です)

今回の展示は、副題が「フィレンツェの富と美」とついてまして、たんなる美術展じゃなく、博物館にいるような気分にもさせられます。

一言でいうと、ボッティチェリを軸に、15世紀イタリアの華麗で激しい人間ドラマが見える、興味深い内容でした。

展示は、時間軸に沿って、ボッティチェリの「イケイケ期」と「ダメダメ期」に分かれます。
(スミマセンぼくが勝手に便宜的につけた用語です)


1.イケイケ期

まず展示の最初は、フィレンツェで鋳造された金貨。
カトリック都市のフィレンツェ。メディチ家は、高利貸を禁ずるキリスト教義に反しない形で、うま〜いこと金融業を起ち上げて、財を成したそう。
さらに、財を成した人は積極的に芸術に投資するのが美徳とされたもの(現代のお金持ちさんもこの美徳に倣ってほしい・・・)ですから、一気に芸術の街として発展するのです。
そこで大活躍したのが、サンドロ・ボッティチェリさん。

展覧会では、師匠から独立したばかりの頃から晩年までのボッティチェリ作品がずらり。「ひとつの展覧会で、ボッティチェリ作品が17点!」というのは、かなり珍しいことなんだそうです。

メディチ家の潤沢な資金をもとに、ボッティチェリさんは、メディチ家から作品制作を数多く受注。仕事に恵まれたアーティストはいいですね。まさに水を得た魚です。早くから名声も手に入れました。

botticelli1.jpg
ピアチェンツァ市立博物館の館長さんが、館唯一のボッティチェリ作品「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」について熱く語る。ボッティチェリ愛がひしひしと伝わりました。

botticelli2.jpg
”イケイケ期”の代表作《ヴィーナスの誕生》があまりに人気で、ヴィーナスだけ別に描いた作品もある(ボッティチェリ工房作)。まさに人気絶頂。




2.ダメダメ期

botticelli4.jpg
壁の色がブルーに変わり、”ダメダメ期”を演出する工夫

”ダメダメ”というのは、ボッティチェリの生活を指しての言葉で、画力についてはまったくダメではありません。むしろイケてます。

さて、この展覧会では、ボッティチェリをとりまくキーパーソンを把握するとよいです。
メディチ家の繁栄を築いたコジモ・デ・メディチ
2代目のロレンツォ・デ・メディチ
そして、聖職者ジローラモ・サヴォナローラ。

こうした人物が、15世紀イタリアの歴史を動かして、ボッティチェリも時代に翻弄されるという、歴史ドラマを見ているような展示が展開されるのです。

というのも、コジモさんが築いたメディチ家の権勢ですけど、次代になると早くも反動があって、暗殺騒ぎなんかが起きる(ロレンツォの弟が刺殺)。
さらに、聖職者のサヴォナローラさんがかなり癖のある人だったみたいで、華美な暮らしに浸る風潮を批判して、フィレンツェの民衆をカトリックの教義で扇動。町の広場で絵画を焼くという行動に出ました(「虚栄の焼却」と呼ばれた)。

で、この「いかがわしいアートなんかいか〜ん!!」というサヴォナローラさんの教えに、ボッティチェリも傾倒しまして、「虚栄の焼却」のときは自分で自分の絵を焼いたとか焼かなかったとか。

メディチ家が追放されるとき、ボッティチェリは付いていかず、サヴォナローラの教えに生きる決心をします。これで仕事が激減。仕事が無くなったアーティストは悲惨です(自分の体験ですが)。どんどん自分の世界に埋没して、精神的な深みに落ちていきます。

ボッティチェリさんの場合は、それが悪い方向にいかないで、精神的に静かな境地を得たようです。その点はサヴォナローラさんによるキリスト教の信仰によるのでしょう。

こうして、ボッティチェリの晩年の作品は、過去の”イケイケ期”とは異なる静かで深みのあるものに変化します。
とくに人物の静謐な表情とか、落ち着いた構図とか、老成したボッティチェリ作品の魅力があります。
だから、”ダメダメ”といっても、芸術性の面ではより高いレベルに到達しているといえるんじゃないでしょうか。

botticelli3.jpg
引き込まれる画面の《聖母子と6人の天使》


とまあ、絵画自体よりもそれを取り巻くストーリーに着目した記事になってしまいましたが、それだけドラマを感じさせる展示構成になっているのが、特徴だと思います。絵画そのものの美しさや劇的な世界観は、ぜひ会場で存分に感じてください。イヤホンガイドもあってわかりやすく理解できますよ。
ルネサンスというと遠近法とかスフマートとか、絵画技法がクローズアップされがちですが、今回はより当時の人間の息遣いが感じられて、ボッティチェリとメディチ家が身近な存在になりました。



【ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美】
Bunkamuraザ・ミュージアム
2015/3/21(土・祝)−6/28(日) 
*4/13(月)、4/20(月)のみ休館
特設サイト 
http://botticelli2015.jp/

 

 





posted by 宮澤やすみ at 19:45 | Comment(0) | ヨーロッパ(中世、ルネサンス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月27日

「ルーヴル美術館展」で見たヒロイン

国立新美術館で開催されている「ルーヴル美術館展」取材してきました。
(写真は報道内覧会で許可を得て撮影。ふだんは撮影禁止です)

fermer.jpg

パリのルーヴル美術館は考古から近現代までものすごい量の所蔵品がありますが、今回は「風俗画」が主題だそうで、貴族から庶民、ホームレスまであらゆる人たちの日常を描いた絵画作品がならびます(冒頭に古代ギリシャの壺があるけど、そこに描かれるのも日常風景)。

ぼくが好きなフランドル絵画に近い路線もあり、《両替商とその妻》(クエンティン・マセイス)とかブリューゲルの《物乞い達》なんかが気になってました。

両替商とその妻.jpg

しかし、現場で一番印象に残ったのは、可憐な少女を描いた《割れた水瓶》でした。

9.ジャン=バティスト・グルーズ《割れた水瓶》ss.jpg
ジャン=バティスト・グルーズ《割れた水瓶》1771年
Photo©RMN-Grand Palais(musée du Louvre)/Michel Urtado/ distributed by AMF - DNPartcom


まあ最初はね、ピンクの乳首が見えちゃってるソフトエロ路線に注目しちゃったんですけどね、男子の本能なんでスミマセンね。

乱れた着衣、右手にもつ割れた水瓶、これは乱暴された直後の様子。処女喪失の現場であります。
時代はフランス革命直前、フランス貴族文化の爛熟期。かなり奔放な恋愛模様が繰り広げられていたそうです。
そんな大人たちの風潮で、こうなっちゃったんでしょうね。時代ですね。
解説では、涙をうかべた目とかそういう言葉がありましたが、そんなふうには見えなかったです。ことさら哀しみや絶望感などを煽った感じはありませんでした。ただ、透き通るような白い肌、あどけない少女の顔、幼さが残る乳房という純粋に美しいものが、今この時大切なものを失ったんだよ、あなたどう思う?と鑑賞者に投げかけられる感じがします。見る人によって、とくに男女によって、感想が変わってくるように思います。

ほかにも、有名なフェルメールの作品や、ティツィアーノの《鏡の前の女》(背後の鏡に注目!)も見ごたえあります。

で、買ったグッズはやっぱりこの《割れた水瓶》の女の子。しかしバラをあしらったデザインが女子力100%でね(笑)どこで使おうかな。
greuze.jpg


【ルーヴル美術館展】
日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄
2015年2月21日(土)〜6月1日(月)
六本木・国立新美術館 企画展示室1E
http://www.ntv.co.jp/louvre2015/
 
 
 
posted by 宮澤やすみ at 14:10 | Comment(0) | ヨーロッパ(中世、ルネサンス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月09日

結局ルネサンスって何?「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館展」レポート

渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで、「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」が開催されています。
(写真は報道内覧会で特別に許可を得て撮影。会期中は撮影禁止です)

ミラノの貴族、ポルディ・ペッツォーリ家はたくさんの美術品を所蔵してるんですけど、ミラノ市内の邸宅が今では美術館になっています(ミラノ中心部にあって、スカラ座やガレリアもすぐ。旅のとき知ってれば行ったのにな〜)。いわゆるプライベート・ミュージアムというやつですね。
そのコレクションが東京に集まりました(その後大阪へ)。

P1120355s.jpg
部屋の写真を交えて邸宅にいるような気分に

今回は、14世紀から19世紀までの作品が部屋毎に展示されていて、わかりやすくヨーロッパ美術を概観できる流れになっていました。

P1120322s.jpg
展示の目玉「貴婦人の肖像」の横であいさつされている、美術館館長アンナリーザ・ザンニさん


ボッティチェリと運慶

いろいろ見どころありますけど、まずはボッティチェリの晩年の作「死せるキリストへの哀悼」にご注目。
P1120341s.jpg
ちゃんとした画像は公式サイトにあります。でも実物を感じるのがいいですよ

ボッティチェリというと、森の中でカミ様たちが集まってる「プリマヴェーラ(春)」とか、ホタテの上に裸の女が立ってる「ヴィーナスの誕生」とかが有名ですけど、今回の作品には、あんなに派手で明るい感じとはちがう、重厚で深刻な感じがただよってます。
この時代、ボッティチェリさんはメディチ家から離れて、ミラノのカリスマ修道士さんにかなり感化されてキリスト教にかなり深く入れ込んでいたんだそうです。

ぼくのブログは、仏像好きな方が多く読まれていると思うのですが、たとえて言うと、運慶の晩年作「無著(むちゃく)」みたいなんですよね(たとえがわかりづらくてゴメン)
ようするに、どちらも若いころは新進気鋭の作家として新様式を打ち出してきたけど、次第に老境に達して、派手さは無いけど深い精神性に裏打ちされた深みといいますか、枯れた味わいが出て、作風にもそれが表れてくるという感じ。

ボッティチェリはルネサンス初期の代表的画家。ルネサンス美術というのは、「古代の復興」と「人間中心主義」ということだそうです。
つまり、古代ギリシャ、ローマのころは、人体こそ究極の美、と捉えていたようで、写実的な人体造形が主流だった。その美意識を復興したのがルネサンス。今回話題の「貴婦人の肖像」も、真横からの肖像画は古代ローマの貨幣とかでよく描かれた題材です。

P1120357s.jpg
「貴婦人の肖像」ピエロ・デル・ポッライウォーロ1470年頃

だから、描く題材の選び方も変わります。それまではマリア像や聖人などキリスト教一辺倒だったのが、古代の神話世界を題材に描くことも増えてきたわけです。

ボッティチェリさんは、ヴィーナスなど古代神話をテーマに、キリスト教以外の世界を描いて、ルネサンス初期の美術シーンを引っ張ってきた。
それってきっと、絵画はキリスト教世界を描くものだ!という「世の常識」から外れたアウトローでパンクな立場だったのかもしれない(笑)。だけどそれが、最後の最後でコテコテのキリスト教絵画にたどり着いちゃった。
彼もいろんな経験を経て、丸くなったんですかね(それとも固くなったのか)。

まあ実際のところは、古代神話も描きつつキリスト教絵画も同時進行で仕事してたんでしょうけど、作風の重さは変わってますよね。

ぼくは日頃、仏像を通して宗教美術に接しているのですが、作家と宗教の関係性というのがちょっと気になるもので、この件でいろいろ思いがめぐるのであります。

ぼくは、ボッティチェリを見ながら、運慶のことを考えていたのでした。
運慶は仏像界の「ルネサンス」である、と日頃の宮澤やすみ講座やツアーで申し上げてますけど、運慶も古典(=天平)の復興が目的でしたからね。あと人体の肉付きを仏像造りに取り入れ、写実的な造形を作ったこともあります。
彼も晩年には僧として高い位を得ていますが、若い血気盛んなころはどういう気持ちで仏像を彫ってたんでしょうかね。


中世の魅力爆発!

ルネサンスのことさんざん書きましたけど、個人的な趣味は、ルネサンス以前の中世キリスト教美術が大好きなのであります!
前の記事では「貴婦人と一角獣展」のこと書いたけど、あれもよかった!

キリスト教(カトリック)の強大な力のもと、ヘタウマなマンガみたいな聖人を描いていた中世の美術界(笑)。時代は魔女裁判にペストに拷問。あのダークな世界に惹かれちゃうんですなあ。

今回、そうした時代の作品もありました。

P1120317s.jpg
「三連祭壇画」ベルナルド・ダッディ 1340-1350年
周囲に受胎告知、キリスト降誕、受難のシーンが描かれる


展示品は、さすが貴族の美意識か、お顔立ちがきれい。でもイタリアやスイスの古い教会に行くと、時代を経てホゲホゲに剥げかけた聖人の壁画や、ブスッとした顔のマリアさんがいますが、それがたまらなくイイ!
べつに写実とか上手な絵だけが価値じゃないからね。

P1120304s.jpg
あと今回の展示では、ヨーロッパの甲冑もありました。これもゾクゾクします。


そんなわけで、ヨーロッパ美術の基本を押さえた、西洋美術の初心者でも充分楽しめる展示になっています。
仏像好きな人にもぜひ行ってほしいです。ボッティチェリより運慶のほうが300年くらい古いから、時代を差し引いて比較すると面白いんじゃないかと。
「この作品、仏像で言うと三十三間堂のアレかな・・・」みたいに置き換えて比較してみるのです。

ほかにもラファエロの初期作や、ダ・ヴィンチの彫像作品(断片)もあるし、日本人は本当にルネサンスがお好きなんですね、と思う展示です。
P1120361s.jpg

「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館所蔵 華麗なる貴族コレクション展」
 4/4〜5/25 BUNKAMURAザ・ミュージアム
 5/31〜7/21 あべのハルカス美術館にて
 http://www.poldi2014.com/


最後に、今回の私的一番のお気に入りはこれ。タイトルは「聖女」だけど、モデルは近所の女の子でしょ〜(笑)
P1120370s.jpg
「聖女の肖像」フランチェスコ・ボンシニョーリ 1505-1510年

 
最後の最後に、夏にこんな講座やらせていただきます。よかったら。

■7月27日 西洋キリスト教美術の魅力〜仏教美術との比較から〜
新宿クラブツーリズムにて



posted by 宮澤やすみ at 18:10 | Comment(0) | ヨーロッパ(中世、ルネサンス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする