2017年06月05日

美人吉祥天、東京へ「奈良 西大寺展」

前記事の「西大寺展」、いよいよ後期の大注目の《浄瑠璃寺・吉祥天立像》がお出ましになりました!
(写真は特別取材会で許可を得て撮影)

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重要文化財「吉祥天立像」京都・浄瑠璃寺

息をのむ美しさと官能美。あでやかな赤い衣と白い柔肌。
しかも日頃は秘仏という神秘性(春秋正月に公開)。
まさに美ブツ中の美仏として仏像ファンにはあまりにも有名です。

筆者も、浄瑠璃寺の厨子にいるところへ何度も会いに行きましたが、こうして全身丸見えの状態は初めてで、鼻血が出そうなほどの興奮状態なのでした。

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首を横に向けてる姿勢なので、記者会見に答えてるみたいに見えます

造立年代は不明ですが、だいたい鎌倉時代の前半の作と推定されます。お寺の記録には建暦2年(1212年)安置したとあります。

信仰としては、吉祥天への信仰は、奈良時代に流行のピークを迎え(吉祥悔過)、東大寺や薬師寺に古い造像画像が残ります。
しかし、本像が作られた鎌倉時代(推定)には、吉祥天信仰は薄れていたようで、なぜこの時代にこの像ができたのか、まだはっきりわかっていないそう。

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三井記念美術館館長・清水眞澄さんによる解説


なにしろ、分かってないことのほうが多い、この浄瑠璃寺・吉祥天立像。まあむずかしいことはおいといて、まず自分の眼で見るのがよいです。観る角度が少し変わっても印象が変わりますよ。

取材時のメディア陣の反応を見ていると、女性陣は「わ〜美しい!」とウットリしてましたが、男性陣の中には「なんか、怖いなこの顔」という人もいて、人によってこれだけ印象のちがいがあるのも面白いなと思いました。

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真正面からの資料写真とはちがい、下から仰ぎ見るとほんわかした印象

みなさんは、どのような印象をもつでしょうか? それは現場でどうぞ。



創建1250年記念「奈良 西大寺展」
(東京展)
2017年4月15日(土)〜6月11日(日)
月曜休館
三井記念美術館にて
http://www.mitsui-museum.jp/
公式サイト:
http://saidaiji.exhn.jp




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2017年05月14日

美麗セレ仏にうっとり!「奈良 西大寺展」

「奈良 西大寺展」今、東京会場で開催中です。

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写真はプレス内覧会にて許可を得て撮影

仏像ファンには有名な、美麗な愛染明王、コワモテな明王なのに、おしゃれともいえるスタイル。ゴージャスな装飾と均整の取れたプロポーション。
鎌倉時代後期のトレンドですね。

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隣は有名な叡尊さんの肖像。本当にリアルです

ほかにも文殊菩薩さんがまた美麗なこと。
育ちの良いセレブ感たっぷりです。

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こういうのを「セレ仏」と呼んだりします(笑)
文殊菩薩坐像 鎌倉時代・正安4年(1302)



取材したのは東京会場。ここでの目玉はやはり、浄瑠璃寺の吉祥天さんでしょう。
本物は実物で見るとして、ここでは参考としてイスムさんの写真をご覧あれ。

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重文 吉祥天立像(6/6〜6/11展示) 鎌倉時代 京都・浄瑠璃寺 画像提供:奈良国立博物館(撮影 佐々木 香輔)

東大寺に比べて、意外と知らない(かもしれない)西大寺関連の仏教美術をまとめて観られるよい機会です!


創建1250年記念「奈良 西大寺展」
(東京展)
2017年4月15日(土)〜6月11日(日)
月曜日(5月1日は開館。)
三井記念美術館にて
公式サイト:
http://saidaiji.exhn.jp
美術館サイト:
http://www.mitsui-museum.jp/


posted by 宮澤やすみ at 15:38 | Comment(0) | 日本(仏像、考古) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月24日

楽茶碗はアバンギャルドの極致?『茶碗の中の宇宙』展

茶道で用いられる楽茶碗が勢ぞろいした『茶碗の中の宇宙−楽家一子相伝の芸術』。
現在の15代楽吉左エ門さんご本人も登場しての内覧会は、静かな興奮に包まれてました。

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囲み取材を受ける樂吉左エ門さん

初代・長次郎から代々続く樂家ですが、先代の技術を模倣することはなく、土も釉薬も自分で研究し、独自の茶碗づくりをするのが特徴です。
今回の展示は、15代すべての作品が並んでいて、代ごとにスタイルが変わっていく様子がよくわかります。

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三代目・道入作、銘《青山》。初代の作風よりも艶やかでオシャレ

自分は以前、初代・長次郎の茶碗を手に取らせてもらったことがあります。見た目よりも非常に軽く、薄くてもろいようで、でもかっしり引き締まってる。見込み(内側のお茶の入る部分)を見るとブラックホールのように深い。枯れた色調もあって、年季を積んでも矍鑠と元気なおじいちゃん、という印象でした。

今でこそ、楽茶碗というと渋好みの侘びた風情という印象ですが、しかし、もともとのコンセプトはどうやら違ったようです。

初代・長次郎のいた桃山時代は、なんでもかんでも金ピカにするのが流行り。そこに、黒と赤だけのゆがんだ茶碗を使うというのは、相当異質な美だったでしょう。
千利休が楽長次郎に指示した茶碗のコンセプトは、かなりのアバンギャルド。
利休も、それに応えた楽も、日本美術界のとんだパンク野郎(笑)だったのですね。
美術界に殴り込んだ”反逆のアート”が楽茶碗なのです。なんだかカッコいい。パンクロックを爆音で流しながらお茶を飲みたくなります。

当初は、「樂焼」という言葉もなく、「今焼」と呼ばれていたそう。
要するに、あまりに斬新すぎて名称がつけられず、桃山時代当時のコンテンポラリー・アートと位置づけられたのでした。その後、江戸から明治に時代が移っても、時代の空気を反映した”今様の美”を追求してきたことは変わりありません。
そう考えると、この記事のカテゴリを「現代美術」にしてもいいかもしれませんね(笑)

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当代・吉左エ門さんの作品もたくさん。”これ、どこから飲むの?”というような面白い作品がたくさんありますよ


『茶碗の中の宇宙−楽家一子相伝の芸術』
3/14〜5/21
東京国立近代美術館にて
休館日、開館時間などの詳細は
http://raku2016-17.jp/outline.html
展覧会サイト
http://raku2016-17.jp/
posted by 宮澤やすみ at 14:16 | Comment(0) | 日本(中世-近代) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月22日

神仏のなぞが解ける?「春日大社展」

東博の「春日大社展」行ってきました。
(今回は内覧会の日が都合つかず、写真を撮れませんでしたが、画像はネットにいろいろ出てます)
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東京国立博物館・平成館で開催中!

展示内容は多岐にわたりますが、やはり神仏習合の展示が面白いです。
(筆者は仏像、とくに神仏習合が専門なもので、どうしてもそこに目が行きます)

奈良、平安時代から、神と仏は一体とされました(神仏習合)。
本来、神の姿は目に見えないとされましたが、やっぱり「この目で見たい!」と思うのが人情。
だから、神の姿も仏像みたいに彫像や画像で表すようになります。これが「本地垂迹(ほんぢすいじゃく)」。
「垂迹」というのは、変身した姿という意味。よく「●●権現」とかいうやつが垂迹身に相当します。
「本地」とは本体という意味で、ここでは仏像の姿で表現されます(このへんのややこしい話はWikipediaとかに出てるから)。

春日大社にも、ご祭神に対応した本地仏が設定されていて、梵字や像で表されました。

だから、神社がテーマの展示でも仏像がいるんですね。

というわけで、今回の展示で、私自身がグッときた仏像ベスト3は…、

1.
十一面観音立像
円成寺の旧本尊。平安中期のウネウネした衣文がたまらない!
(円成寺サイト)
http://www.enjyouji.jp/treasure/index.html

2.
善円作:十一面観音菩薩立像
愛らしくもキリリとした顔立ちに、艶めかしいプロポーション!
(奈良国立博物館サイト)
http://www.narahaku.go.jp/collection/803-0.html

3.
康円作:文殊菩薩騎獅像および侍者立像
童子形ながら神々しく厳しいお顔。獅子に乗っておでかけスタイル!
(東京国立博物館サイト)
http://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=C1854&t=type_s&id=8


です!(ほかにも地蔵菩薩などいました)

これらの仏像は、どれも神社の信仰(春日信仰)からできているわけです。
教科書どおりの神道、仏教ではわからない世界観ですね。
やはり、古い日本のようすを知るには、神社も寺も同時に見ていかないと。


春日大社は、奈良の平城京を見守る御蓋山(みかさやま)、春日山の信仰が原点ですが、そこに茨城・鹿島神宮の神が降り立ったとされ、社殿が建てられ、千葉・香取神宮の神など合わせて四柱(神を数える数詞は「柱」といいます)の神を祭ります。


それぞれの神と本地の対応は、




神名本地仏
第一神武甕槌(タケミカヅチ)命不空羂索(ふくうけんさく)観音
もしくは釈迦如来
第二神経津主(フツヌシ)命薬師如来
第三神天児屋根(アメノコヤネ)命地蔵菩薩
第四神比売(ヒメ)神十一面観音

そして、比売神の息子とされる若宮の神の本地を文殊菩薩として表現されます。

こうしたややこしい(?)話は、ぜひ博物館で確認してみてください。
説明パネルでわかりやすく解説されています。
それを見たうえで春日曼荼羅や仏像を見ると、感じ方もちがうと思います。


【特別展 春日大社 千年の至宝】
2017年3月12日まで
http://kasuga2017.jp/

posted by 宮澤やすみ at 18:21 | Comment(0) | 日本(仏像、考古) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月02日

元祖炎上キャラ?マリーアントワネット展

ヴェルサイユ宮殿が監修した「マリー・アントワネット展」が、来場30万人を突破したそうです。

この展示、マリーアントワネットの人となりが見えてとても面白いです。
展示の前半は、フランスの王家に嫁ぎ、華やかなセレブ生活の章。
(写真はプレス内覧会で許可を得て撮影)

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プライベートルームの再現も

ファッションや言動がいつも注目されて、人気の半面、批判も多かったようで・・・

誤解から始まった「首飾り事件」の顛末などは、まさにゴシップ炎上ネタ。それでまた注目を浴びるのだから、現代のセレブと変わらないです。

子育てを経て大人の魅力を兼ね備えたマリーですが、悲劇は突然訪れます。フランス革命です。

牢獄に幽閉されると、夫は処刑(家族の最後の別れのシーンを描いた絵が泣ける)。
それでもマリーは毅然とした態度を崩さず自分も処刑台に向かいます。幽閉時や処刑時に着用していた下着や靴がリアルです。

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いきなり牢獄に捉えられるマリー

展示前半の明るくハチャメチャなノリと、後半の重苦しい雰囲気の落差が激しすぎてクラクラします(笑)。
その暗い空気のまま展示が終わるので、気を付けてくださいね。

今月26日まで。夜もやっているから駆け込みでどうぞ。


「ヴェルサイユ宮殿≪監修≫ マリー・アントワネット展 
美術品が語るフランス王妃の真実」

2016年10月25日(火)−2017年2月26日(日)
休館なし
森アーツセンターギャラリーにて
http://www.ntv.co.jp/marie/

 
posted by 宮澤やすみ at 17:44 | Comment(0) | ヨーロッパ(近代) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする