2017年02月22日

神仏のなぞが解ける?「春日大社展」

東博の「春日大社展」行ってきました。
(今回は内覧会の日が都合つかず、写真を撮れませんでしたが、画像はネットにいろいろ出てます)
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東京国立博物館・平成館で開催中!

展示内容は多岐にわたりますが、やはり神仏習合の展示が面白いです。
(筆者は仏像、とくに神仏習合が専門なもので、どうしてもそこに目が行きます)

奈良、平安時代から、神と仏は一体とされました(神仏習合)。
本来、神の姿は目に見えないとされましたが、やっぱり「この目で見たい!」と思うのが人情。
だから、神の姿も仏像みたいに彫像や画像で表すようになります。これが「本地垂迹(ほんぢすいじゃく)」。
「垂迹」というのは、変身した姿という意味。よく「●●権現」とかいうやつが垂迹身に相当します。
「本地」とは本体という意味で、ここでは仏像の姿で表現されます(このへんのややこしい話はWikipediaとかに出てるから)。

春日大社にも、ご祭神に対応した本地仏が設定されていて、梵字や像で表されました。

だから、神社がテーマの展示でも仏像がいるんですね。

というわけで、今回の展示で、私自身がグッときた仏像ベスト3は…、

1.
十一面観音立像
円成寺の旧本尊。平安中期のウネウネした衣文がたまらない!
(円成寺サイト)
http://www.enjyouji.jp/treasure/index.html

2.
善円作:十一面観音菩薩立像
愛らしくもキリリとした顔立ちに、艶めかしいプロポーション!
(奈良国立博物館サイト)
http://www.narahaku.go.jp/collection/803-0.html

3.
康円作:文殊菩薩騎獅像および侍者立像
童子形ながら神々しく厳しいお顔。獅子に乗っておでかけスタイル!
(東京国立博物館サイト)
http://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=C1854&t=type_s&id=8


です!(ほかにも地蔵菩薩などいました)

これらの仏像は、どれも神社の信仰(春日信仰)からできているわけです。
教科書どおりの神道、仏教ではわからない世界観ですね。
やはり、古い日本のようすを知るには、神社も寺も同時に見ていかないと。


春日大社は、奈良の平城京を見守る御蓋山(みかさやま)、春日山の信仰が原点ですが、そこに茨城・鹿島神宮の神が降り立ったとされ、社殿が建てられ、千葉・香取神宮の神など合わせて四柱(神を数える数詞は「柱」といいます)の神を祭ります。


それぞれの神と本地の対応は、




神名本地仏
第一神武甕槌(タケミカヅチ)命不空羂索(ふくうけんさく)観音
もしくは釈迦如来
第二神経津主(フツヌシ)命薬師如来
第三神天児屋根(アメノコヤネ)命地蔵菩薩
第四神比売(ヒメ)神十一面観音

そして、比売神の息子とされる若宮の神の本地を文殊菩薩として表現されます。

こうしたややこしい(?)話は、ぜひ博物館で確認してみてください。
説明パネルでわかりやすく解説されています。
それを見たうえで春日曼荼羅や仏像を見ると、感じ方もちがうと思います。


【特別展 春日大社 千年の至宝】
2017年3月12日まで
http://kasuga2017.jp/

posted by 宮澤やすみ at 18:21 | Comment(0) | 日本(仏像、考古) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月02日

元祖炎上キャラ?マリーアントワネット展

ヴェルサイユ宮殿が監修した「マリー・アントワネット展」が、来場30万人を突破したそうです。

この展示、マリーアントワネットの人となりが見えてとても面白いです。
展示の前半は、フランスの王家に嫁ぎ、華やかなセレブ生活の章。
(写真はプレス内覧会で許可を得て撮影)

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プライベートルームの再現も

ファッションや言動がいつも注目されて、人気の半面、批判も多かったようで・・・

誤解から始まった「首飾り事件」の顛末などは、まさにゴシップ炎上ネタ。それでまた注目を浴びるのだから、現代のセレブと変わらないです。

子育てを経て大人の魅力を兼ね備えたマリーですが、悲劇は突然訪れます。フランス革命です。

牢獄に幽閉されると、夫は処刑(家族の最後の別れのシーンを描いた絵が泣ける)。
それでもマリーは毅然とした態度を崩さず自分も処刑台に向かいます。幽閉時や処刑時に着用していた下着や靴がリアルです。

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いきなり牢獄に捉えられるマリー

展示前半の明るくハチャメチャなノリと、後半の重苦しい雰囲気の落差が激しすぎてクラクラします(笑)。
その暗い空気のまま展示が終わるので、気を付けてくださいね。

今月26日まで。夜もやっているから駆け込みでどうぞ。


「ヴェルサイユ宮殿≪監修≫ マリー・アントワネット展 
美術品が語るフランス王妃の真実」

2016年10月25日(火)−2017年2月26日(日)
休館なし
森アーツセンターギャラリーにて
http://www.ntv.co.jp/marie/

 
posted by 宮澤やすみ at 17:44 | Comment(0) | ヨーロッパ(近代) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月21日

”シュル”を超えた”原子核画家”「ダリ展」

国立新美術館の「ダリ展」おもしろかったです。

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写真はプレス内覧会で特別の許可を得て撮影

若い頃の作品から人気を博したシュルレアリスム時代、戦後の原子力絵画など生涯を通じた作品を回顧するもので、ダリがよくわかりました。
仲間の映画監督ルイス・ブニュエルによる『アンダルシアの犬』(グロ注意)なども上映されてます。

原子力と宗教?

展示順路を進むと、1920年代後半から、ダリの「シュルレアリスム時代」となります。
無意識を意識した(?)絵画がいくつもあるなか、彫刻展示が面白い。《引出しのあるミロのヴィーナス》は、有名なミロのヴィーナスを精巧にまねて作ってますが、おっぱいやお腹に引き出しがあって、モフモフの毛がついてる。これがなんともエロティック。
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そこはかとないエロティシズム

しかし、一般的にダリ=シュルレアリスムというイメージがあるようですが、それは断片的なもの。むしろシュルレアリスムの仲間とはある時期から決別し独自路線をいきます。まあ、この人のことですから何やっても独自なんでしょうが。
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解説にあるとおり、シュルレアリスムとは少し路線を異にしたようです
”シュル=超”を超えたら、シュルシュル画家とでも呼びますかな


バレエの舞台美術を手掛けたりしたあと、第二次世界大戦が終結。
そのときダリは、広島・長崎への原爆投下に衝撃を受けました。
その衝撃で、いきなり原子力への興味が湧き、原子物理学と芸術を結び付けるという、大変にワケの分からない行動にでます。

たとえば「原爆に衝撃を受け、反戦のメッセージを込める」とかなら、アーティストのあるあるパターンなんですが、さすがダリ、「原爆の影響で、”原子力絵画”を制作」というのだから、本当にブッとんだアーティストでございます。

さらに、そこに宗教的な神秘主義が合わさって、著書『神秘主義宣言』を発表。その中で、自分を「原子核神秘主義画家」と宣言します。もう何がなんだか。

そのころの作品がたしかにブッとんだ面白さ。
その代表作《ラファエロの聖母の最高速度》をお見逃しなく。
タイトルからして「主語と述語が合ってない」と国語の先生に怒られそうなものになってます。
公式サイトに画像出てるので見てみてください
筆者もこの展示で一番好きな作品で、グッズ(A5クリアファイル)も買いました。

ものの根源である素粒子をつきつめることで、宇宙のなりたちを考えるうちに、聖なるものと重ね合わせてしまったのでしょうか。とにかくおもしろいです。

奇抜さの背後にあるもの

原爆の影響がもろに出ている作品《ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌》もすばらしいです。
展示室に入るところから作品が見えていて、立体モチーフを貼り付けた作品かな?と思ったら、純然たる油絵でした。

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これがその作品。正面から見ても、モチーフが浮いているように見えて仕方ないです

《素早く動いている静物》もすごい。ばしゃっと広がる水の描写とか、ほんと超絶技巧。

この人は、本当に絵がうまい人なんですね。

ただ、ダリに関して「あ〜上手な絵」「絵から雀が飛び出そう」といった評価は全く無い。そういうところで勝負する画家ではないですもんね。
圧倒的な画力は、突拍子もない表現でも敬遠されず、観客を自然に引き込むための説得力になっています。
話は飛ぶけど、筆者の好きなデヴィッド・ボウイも、奇抜なイメージありましたが、何をやっても受け入れられるだけの「歌の上手さ」があったと言われます。

わりとしたたかに、タレントとしても世渡りをした画家ですが、そのベースには超絶な技術があって、しっかりとした表現力が備わっている。
どんなに奇をてらっても、腕がともなってないとダメというわけですね。

その後、晩年のダリ作品は少しやわらかい色調になって、こんな人でも最後は丸くなるのかなという印象でした。

「ダリ展」
2016年9月14日(水)〜12月12日(月)
火曜休館
国立新美術館にて
http://salvador-dali.jp/
美術館サイト
http://www.nact.jp/exhibition_special/2016/salvador-dali/
 
posted by 宮澤やすみ at 17:49 | Comment(0) | 現代美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする